公開日 2024年04月18日(Thu)
令和6年4月8日(月)
令和6年度,新学期がはじまりました。
始業式での校長式辞を紹介します。
1学期始業式 式辞
新学期を迎えました。春休みは,今までお世話になった先生方を見送って,新しく赴任される先生方を迎える,なんともあわただしい休みですね。今日は元気に登校できたでしょうか。久しぶりにクラスメートや友人,先輩や後輩に会って近況を笑顔で報告し合えたでしょうか。
先ほど新任式を行いました。創立124年を迎える歴史と伝統に支えられながら,新任の先生方とこの川辺高校で,皆さんとともに,喜びや悲しみを共有できていくことを心からうれしく思っています。
私の人生のさまざまな場面で示唆を与えてくれる,明治時代の哲学者に森信三(もり のぶぞう)という人がいます。私の講話の中にはこれからもちょくちょく登場する人です。その森信三氏の言葉に次のようなものがあります。
人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。しかも,一瞬早すぎず,一瞬
遅すぎない時に。
今まで川辺高校にいらした先生方も,そしてこのたび着任された先生方も,生徒の皆さんにとってはまさしく「一生のうちに会うべき人」であろうと私は思います。新しく着任された先生方の顔と名前を早く覚えて,教えを受けながら,昨日の自分を更に超えて飛躍する一年にしましょう。川辺高校での充実したものにしていきましょう。
さて,本日の始業式を迎えるにあたり,生徒の皆さんはどんな思いで登校したでしょうか。
2年生の皆さんは中堅学年となり,実質的に学校の核となって,川辺高校の良さを地域に,そして県内に示す学年になりました。
また,3年生の皆さんは高校での学業,部活動などの集大成として,また次の社会人としてのステージに立つため,大学・短大・専門学校などの進むべき上級学校を決定し,あるいは就職をするために,受験をする準備の学年になりました。
どの学年の皆さんも,何事にも全力を出し切り,悔いの無い1年間を過ごしてほしいと思っています。
4月2日,朝,学校に来ると正門から入った右側に落ち葉がたくさんありました。登校してきた何人かの生徒に「おはよう」と声をかけながら落ち葉を掃き集めたことでした。翌日,朝登校すると,何人かの生徒がホウキを手にして落ち葉を掃いてくれていました。おそらく書道部の人たちだったろうと思います。
昨日,私は「一緒に掃きませんか」とか,「掃いてくれるといいけどね」というような言葉は何一つかけていません。人の行動を見て自分の心に落とし込む,そして自分はどうするかを考えてそれを行動に移す。簡単にできるようで実はそうではありません。思わず心があたたかくなる思いでした。書道部の皆さん,ありがとう。みなさんのその心のありようが,きっと作品に宿りますよ。すばらしいことだと思います。
今紹介した生徒の行動を思うとき,世の中には「見えない力」が存在することを感じます。
素直な心や感謝の心,自己主張をしすぎない謙虚な心,奉仕の心,これらがもたらす人への影響を「見えない力」と呼ぶのなら,私はきっと存在すると信じています。ヒトの行動はすべてその人の「心」がさせることです。 例えば,友人を大切にする人には,多くの人が集まります。困っている友人を助ける人は,自分が困ったときに,周りが助けの手をさしのべます。ごく当たり前のことです。私たちの心のありようは,自分が思うよりも他者に伝わるのだと思います。
皆さんは川辺高校で学んでいるわけですが,謙虚な言い方をすれば,「川辺高校で学ばせてもらっている」わけです。その感謝の思いを形にするならば,登下校の際に門礼をする,授業開始・終了の挨拶をしっかりとする,学校の備品や校舎を大切に使う,そういう態度になるのではないでしょうか。その謙虚な心から発する品格ある行動は,自分でも気づかないうちに自分自身に戻ってきて,皆さんに不思議な「見えない力」をもたらす,私はそう信じています。
令和6年度のこの1年は,一昨年,昨年と飛躍を遂げてきた皆さんが,さらに人として大切なことを学び・身につける1年になるだろうと確信しています。
私は皆さんの熱烈な応援者でありたいと思っています。皆さんの頑張る姿を支え,皆さんを教え導いて諭してくださる先生方とともに,見守る存在でありたいと思っています。どうか精一杯の取り組みができることを願っています。
この1年が,まずは1学期が,皆さんが健康で充実した高校生活を送れることを祈りながら,始業式の式辞といたします。
令和6年4月8日
校長 伊地知 健三