公開日 2024年07月23日(Tue)
令和6年7月19日(金)1学期終業式での校長式辞です。
さきほどなぎなた部の全国大会壮行会,表彰伝達式,新生徒会役員認任命式を行いました。表彰では,七夕書道展において最高賞の鹿児島県知事賞を受賞した3年生有田心凛さん,特別賞の南日本書道会賞を受賞した2年生鶴田桃子さん,そして学校賞を受賞した本校書道部の皆さん,ほんとうにおめでとうございました。
学校賞を受賞したのは,高校では本校と市内のある高校の2校です。部員の数も6倍いる学校と肩を並べる書道部の皆さんの活躍は目を見張るものがあります。これからも精進をつづけてください。
皆さんは4月の始業式の式辞で,何も言わずに正門付近を掃除してくれていた書道部の人の話をしたのを覚えていますか。「いつかその心がけが作品に出ますよ」と私は言いました。
きっと去年,一昨年と,そんな広い視野を持ち,自分にできることを探して生活してきたのだろうと思うことでした。神様はやはり見ているんですね。
新生徒会の桑原瑛太会長は,立会演説会の時に「自治の学校を作りたい」と公約に掲げていました。その考えに大いに賛同します。
自分たちで決めたものではないものを押しつけられるがごとくおとなしく受け取って,おとなしく過ごしていく時代は過去の時代です。時代は変わりました。令和の時代の高校のルールは,生徒の皆さんが,自分たちで作って自分たちで運用する。しばらくして時代に合わないことが出てきたら,合うスタイルに変えていく。 一方で「不易流行」と言う言葉があるように,変えてはいけないものもある。その判断は難しいときもあるが,自治の学校づくりができるようになってくれることを願いたい。それが数十年後の川辺高校の「伝統」となるはずですから。
神様と言えば,私の人生の節目節目に示唆を与えてくれる森信三という哲学者がいます。
森信三氏は明治時代に愛知県の資産家に生まれました。父親の代になって経済が傾き,両親は離婚し貧しい農家に養子に出されました。
幼い頃から秀才であったようで,学費が免除される愛知第一師範学校に進学,卒業後は横須賀市の小学校の先生をし,その後京都大学哲学科の大学院を卒業するときには38歳になっていました。
その後,神戸大学教育学部教授を65歳まで務められ,97歳で亡くなるまで人を育て導く人生を全うします。
森信三氏は多くの名言を残していますが,その一つを今日は皆さんに紹介しましょう。
人はこの世に生まれ落ちた瞬間,全員が天から封書をもらって生まれてくる。
その封書には,何のために生まれてきたのか,人生の使命や目的は何か,一人一人,その封書に書かれている。
しかし,その封書を一度も開けずに人生を終える人がいかに多いことか。
普段,私たちは自分は何のために生まれてきたんだろうとか考えることはあまりありませんね。この機会に考えてみるとしますか。
私が思うに,皆さんは川辺高校での生活で,天からの封書をあける手がかりをつかむのではないかと信じています。
1年生はようやく川辺高校の生活のリズムをつかんできただろうと思います。2年生は中堅の学年として,様々な活動に積極的に取り組んでくれていることと思います。
3年生のみなさんは,自分のこれからの進路を切り開く数ヶ月を過ごすことになろうかと思います。今の努力が形になって現れるのは,早くても2~3ヶ月後です。たとえば,食事制限や運動療法で体重を落とそうとしてもすぐには落ちません。何の変化もないように見えて1,2ヶ月すると突然結果に表れてくる。人間とはそういう風にできている生き物なのでしょう。
すぐに結果が出ないからと言ってクサらずに,結果に左右されないでブレずに努力すること。努力する自分を信じて少しずつでも積み上げていくことが大切です。
明日から夏休みに入ります。たくさん時間があるように見えますが,高校生は忙しい。宿題や勉強に加えて,夏トライグレードアップゼミや郷中ゼミに参加する人もいますね。
普段はできない趣味や好きなことに没頭したり,別々の高校に通っている友達と会ったり,じいちゃんばあちゃん親戚に会いに行ったりお墓参り,花火や夏祭りに繰り出したりと,様々なイベントが目白押しです。
規則正しく生活しながら,充実した日々にんることを祈っています。
令和6年7月19日
校長 伊地知 健三